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お菓子作りの器具をひととおり揃えるためにホームセンターへ寄った。
ガラスボウルの縁ってばあんなに無骨なのに、どうしてああも瀟洒なのかしら。
わたしの家にはオーブンもない。トースターもなければあるのは電子レンジだけ。それも、古い。
好きなスイーツはオーブンを使わないものばかりだけれど作ってみたいスイーツは焼き菓子ばかり。タルトなんか超夢なのに。だから、いいやと言ってオーブンも買った。コンパクトな子、電子レンジをどかしたところにもお行儀よく収まってくれたお利口さん。
お菓子作りなんかろくにしたことないから少しずつステップを踏もうと思って、ラズベリーのレアチーズケーキに続いてホワイトチョコレートのババロワを作った。焼き菓子は難易度が高いらしいから、お利口なオーブンは空焼き以来わたしに触れてもらえていない。どちらも味は好い。見た目が、ひどかった。
ラズベリーシロップを最後に掛けるのは結構、ただ下のレアチーズらが平らではないので偏ってしまう。艶紫の大胆な濃淡、わたしは好きじゃない。ラズベリーピューレを練り込んだレアチーズは美味しかった。
ババロワは濃厚なミルクプリンのようだった。味はさっぱりしていて美味しい。ただ食感が、これは正解なのかしらと思うくらいふわふわしていた。下層で空気を多く含んで、なめらかとは言い難い舌触り。たぶん、不正解。
これではクリスマスやバレンタインや、彼女の誕生日になにかを作って贈るなんてとてもできない。
クリスマスに間に合うかしら。